大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

鹿児島地方裁判所 平成3年(わ)47号 判決 1991年7月23日

本籍

岡山市君津一一〇番地

住居

鹿児島市坂元町六六五番地の一

会社員

窪田義隆

大正八年一〇月三一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官加島康宏出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、鹿児島市坂元町六六五番地の一に居住し、同市城南町一九番一〇号において「窪田商店」の名称で肥料製造販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て、仕入金額の水増し計上などの方法により、その所得を秘匿した上、

第一  昭和六一年分の所得金額が九、〇八二万四、九六六円あったにもかかわらず、同六二年三月一〇日、同市易居町一番六号鹿児税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、六三八万七、六六九円で、これに対する所得税額が二九〇万五、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額四、七四七万七、四〇〇円と右申告税額との差額四、四五七万一、八〇〇円を免れ、

第二  昭和六二年分の所得金額が六、八六四万九、四三〇円あったにもかかわらず、同六三年三月七日、前記鹿児島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、一〇九万五、二六〇円で、これに対する所得税額が五〇七万三、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三、一一二万八、二〇〇円と右申告税額との差額二、六〇五万五、二〇〇円を免れ、

第三  昭和六三年分の所得金額が五、七二八万六、二八七円あったにもかかわらず、平成元年三月一五日、前記鹿児島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、九五三万八、二一〇円で、これに対する所得税額が三六二万三、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二、二〇八万九、三〇〇円と右申告税額との差額一、八四六万五、五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書二二通

一  平井幸徳の検察官に対する供述調書

一  平井幸徳(六通)、大楽儀雄(平成二年五月二九日付、同年六月二六日付)、森政雄、泊和雄、中垣幹雄、橋爪義勝及び月田郷志(二通)、大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  鹿児島税務署長作成の修正申告書の提出についてと題する書面

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(二通)、売上金額調査書、期首製品棚卸調査書、期首原材料棚卸高調査書、原材料仕入高調査書、期末原材料棚卸高調査書、期末製品棚卸高調査書、支払手数料調査書、貸倒引当金繰戻額調査書、貸倒引当金繰入額調査書、青色申告控除額調査書、及び利子所得調査書

一  押収してある青色申告者書類つづり一冊(平成三年押二九号の4)

判示第一事実につき

一  大楽儀雄の大蔵事務官に対する平成二年六月二八日付質問てん末書

一  鹿児島税務署長作成の昭和六一年分の所得税の更正決議書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(平成二年一二月三日付・検甲6号)、報告書(同三年二月二〇日付・検甲9号)

一  押収してある六一年分の所得税の確定申告書等一綴(平成三年押二九号の1)

判示第二事実につき

一  大蔵事務官作成の平成二年一二月三日付脱税額計算書(検甲7号)

一  押収してある六二年分の所得税の確定申告書等一綴(平成三年押二九号の2)

判示第三事実につき

一  大蔵事務官作成の平成二年一二月三日付脱税額計算書(検甲8号)

一  押収してある六三年分の所得税の確定申告書等一綴(平成三年押二九号の3)

(法令の適用)

1  該当罰条

所得税法二三八条一項(懲役と罰金を併科)、二項

2  併合加重

懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)

罰金刑につき 刑法四八条二項

3  労役場留置

刑法一八条

4  執行猶予

懲役刑につき 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 若杉立身)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例